突然ですが、あなたは『労災(労働災害)』について、詳しく説明できますか?
正直、完全に把握してる、きちんと説明できる!という人はほとんどいないのではないでしょうか。
クラブやキャバクラなどのナイトワークでは、あまり見聞きしなかったワード。昼職において、労災は会社側も社員側も知っておくべきものです。
今回はそんな労災について詳しく解説いたします。
これから夜卒をして昼職へ転職をしようとお考えのあなたも、ぜひこちらを参考に労災について覚えておいてくださいね。
労災とは
労災(労働災害)とは、従業員が通勤中や業務中に負傷したり病気になったりすることです。もし業務中に事故が発生した場合、企業は労働基準法が定める通り被災した従業員に対して補償責任を負うことになります。
そのため、従業員が働けない間の治療費や生活費などを補償する制度が労災保険です。あらかじめ労災保険に加入していれば、保険から被災した従業員に給付が行われます。
また、過労死など職場における過重負荷による脳・心臓疾患の場合や、過労自殺やセクハラ・パワハラなど心理的負荷による精神障害の場合も、労働災害と判断されるケースもあります。
■労災保険って?
労災保険は、企業が加入する保険です。
原則として「労働者を1人でも雇用している」または「法人」であれば適用事業所になり、正社員、パート、アルバイトや日雇いなど、全ての従業員を対象として保険料を納めることになります。ただし、事業主や法人役員などは労災保険に加入することはできません。
労災の認定基準
労災には、通勤による通勤災害と仕事による業務災害の2種類があり、それぞれに認定基準が設けられています。
■通勤災害
職場への通勤途中や帰宅途中に傷病を負う場合に認定されます。
そのため、途中で映画館や居酒屋などに立ち寄るなど通常の経路を外れた場合は、基本的に通勤災害とは認められません。ただし、日用品の買い物や通院・介護・選挙・職業訓練へ参加するなどの場合は例外とされます。
■業務災害
従業員が指定の業務に従事している際に、業務が要因で負傷したり病気を発症した場合は業務災害に該当します。
原則として、事業所の敷地内にいる限り事業主の支配・管理下にあると認められ、トイレなどの生理的現象も含まれます。ただし、休憩時間や終業時間前後に発生した事故で、事業所の施設・設備等に要因があると考えられれば業務災害とみなされますが、私的な行為が要因の場合は認められません。
また、出張や社用での外出先で勤務している際に発生した場合は、積極的な私的行為が行われるなどの事情がない限りは業務災害となります。
以下のような事情の場合には、労災と認定されないことがあります。
- 就業中に行った私用または業務を逸脱する気ままな振る舞いが原因で発生した場合
- 従業員が故意に負傷などした場合
- 個人的な恨みで従業員が第三者から暴行を受けた場合
- 地震や台風などの天災で被災した場合
(事業所の立地条件・作業条件・作業環境の災害対策が甘く、被害を受けやすい業務と認定された場合は業務災害となります。)
疾病については、下記3つの要素を満たしている場合に業務災害と認定されます。
- 事業所に有害因子が存在している
- 健康障害を引き起こすほどの強い有害因子にさらされたことが認められる
- 発症の経緯や症状が医学的見地からしても業務災害として妥当である
労災保険の補償範囲
労災保険が対象とする補償にはどのようなものがあるのでしょうか?
主な補償について、一部ですがご紹介いたします。
■療養(補償)給付
業務災害・通勤災害による傷病で療養する際(入院、治療、通院費など)に給付されます。指定の医療機関で療養する場合は無料となり、指定医療機関以外で治療を受ける場合は後日その費用を受給することができます。
■休業(補償)給付
業務災害・通勤災害による療養のため、働くことができず賃金が支払われない場合に、労働できなくなった日の4日目から休業1日につき給付基礎日額の60%が給付されます。
また、休業特別支援金として、労働できなくなった日の4日目から休業1日につき給付基礎日額の20%相当額が給付されます。
■傷病(補償)年⾦
業務災害・通勤災害による療養を始めて1年6カ月が経過しても「傷病が治っていない」かつ「傷病が傷病等級第1~3級に当てはまる」場合に、障害の程度に応じて年金給付基礎日額の相当分が支払われます。
さいごに
いかがでしたか?
今回は、労災について認定基準や労災保険など詳しく解説いたしました。
なかなか聞かないワードに戸惑った方もいるかもしれません。まずは「労災」というものがあるということを知っておくことが大切です。
昼職に転職後、もし労災が発生した際はまず事業主に報告をし、対応について相談しましょう。