試用期間中に関するありがちなトラブルとよくある質問

試用期間中に関するありがちなトラブルとよくある質問

昼職には、ほとんどの企業で試用期間を設けています。
試用期間についての詳しい解説は、別途コラム『試用期間とは?基礎知識と研修期間との違いについて』にてご紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

基本的にはスムーズに試用期間を経て、社員としての就業が開始されます。しかし、なかには試用期間中にトラブルに遭遇してしまうケースもあるもの。

こういうケースってある?こんな時はどうしたら良いんだろう・・・。と少し不安に感じている方もいるかもしれません。

そこで今回は、試用期間中にありがちなトラブルとよくある質問についてご紹介いたします。

試用期間に関するありがちなトラブル

試用期間に関するありがちなトラブル

1.「思っていた働きじゃない」と突然の解雇通告

これは不当な理由に値します。
企業側は正当な理由がない限り簡単に解雇はできません。正当な理由として、過去に裁判で認められた解雇の具体例は下記となります。

  • 出勤率が90%に満たない
  • 3回以上の無断欠勤
  • 勤務態度が悪く何度指摘しても改善されない
  • 協調性を欠く言動や行動があり社員として不適格
  • 経歴詐称があった

経歴詐称以外は、雇った企業側にも教育・指導する義務があります。上記の理由があったとしても、いきなり解雇することはできません。企業が十分に教育・指導を行ったかも重要なポイントになるのです。

2.試用期間終了後に本採用を拒否された

本採用拒否は、法的には労働契約の解約にあたり解雇に該当するものとなるため、正当な理由が必要です。

誠実に勤務しているにもかかわらず、試用期間満了時に「今回の本採用は見送ります」と会社側に選択権があるような言い方をされていても、法的には認められないということを覚えておきましょう。

3.勝手に試用期間を延長された

以下の3つの条件をすべてクリアしていれば、試用期間の延長は認められます

  • 延長する場合があることについて就業規則や雇用契約書に定められている
  • 延長理由に合理性がある
  • 延長期間は当初の期間を含め、おおむね1年以内である

この条件をクリアせずに、企業側の都合や気分で延長すること、合意があったとしてもあいまいな理由で延長することは許されません。

また試用期間の長さに関しては、労働基準法等で明確な決まりはありませんが、民法90条「公序良俗」の観点から最長1年以内が限度と解釈されています。

4.給与が最低賃金より低く、残業代も出ない

給与額に関しては、試用期間内の額を提示される場合があります。その時は、各都道府県の最低賃金を下回っていないかを必ず確認しましょう。
残業代ももちろん支払われます。研修期間中だから給与が支払われない、というのも違法です。

5.雇用保険や社会保険に加入させてもらえない

試用期間であっても雇用契約が締結されている状態なので、一部の短時間労働者を除き、雇用主である企業は、各種社会保険に加入させる義務があります。

これらの社会保険に加入させてもらえなかったために、失業保険がもらえなくなったり、将来受給できる年金が少なくなってしまったりといった、労働者側にとって不利益を被ることがあります。

トラブルの対処方法

トラブルの対処方法

もし前述したようなトラブルに遭遇してしまった場合、一体どうすれば良いのでしょうか?

●まずは会社に相談する

ケンカ腰になったりせず、冷静に相談する姿勢が重要です。
切り出し方の例としては、「労働条件について確認させていただきたいことがあるのですが」などと伝えましょう。

●行政庁に相談する

誠意をもって労働条件の相談をしても、会社側が聞く耳を持ってくれない・・・という場合は、しかるべき機関に相談しましょう。
解雇・賃金に関するトラブルは労働基準監督署、雇用保険の未加入はハローワーク、社会保険の未加入は年金事務所が窓口となります。

●弁護士に相談する

行政庁に相談しても解決しない場合は弁護士などに相談し、労働審判や訴訟により権利の実現を目指していきます。

●新しい就職先を探す

弁護士に相談する段階までこじれてしまうと、訴訟から未払い賃金の支払いに至るまで相当な時間とコスト、精神的負担がかかります。そうした労力を考えれば、早めに切り替えて新しい勤務先を探すといった選択も良いかもしれません。

試用期間に関するよくある質問

試用期間に関するよくある質問

Q1.再び転職活動を行う時、失業手当も再度受給することができますか?

例えば、A社退職後に90日分の失業手当を受給する権利を得ていたとして、50日間受給しB社に転職をしたもののB社を早期退職した場合、A社退職後の翌日から1年以内であれば、残りの40日分の失業手当を受給することが可能です。
一度就職が決まっても期間内であれば残っていた失業手当を受給することができます。

Q2.試用期間中に退職した場合、職歴に記載する必要はありますか?

履歴書に勤務した企業を記載するか否かは、応募者の意思で決められます。ただし、雇用保険に加入していれば、加入履歴が新しい職場に知られてしまう可能性はあります。

短すぎる職歴で記載したくない場合は、面接で空白の期間について確認されることや内定後に発覚することも考慮して、確認される前に「実は1か月だけ勤務した会社がありますが、入社面接時の話と実際の業務内容がまったく異なっていたため短期間で退職しました。短すぎる職歴のため、ここには記載しておりません」などと伝えておくと良いでしょう。

さいごに

試用期間中に関するありがちなトラブルとよくある質問まとめ

いかがでしたか?
今回は、試用期間に関するありがちなトラブルと対処法、よくある質問についてご紹介しました。

知らないままでは不当に解雇をされたり、トラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。この機会にきちんと理解しておきましょう。

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