転職の面接では、希望年収を聞かれることは多いものです。もちろん少しでも多く貰いたいのが本心ですよね。しかし希望額をそのまま答えてしまって良いのか、不安になることもあるでしょう。適切に答えられると、年収アップを成功させることもできます。
そもそもなぜ面接官が希望年収を聞くのでしょうか?ただの意地悪で質問しているわけではありません。でも考えられる理由が思い浮かばない・・・という人がほとんどではないでしょうか。
そこで今回は、企業側が面接時に希望年収を聞く理由と適切な回答について詳しく解説いたします。
面接官が希望年収を聞く理由とは
面接のご経験があるほとんどの方は、希望の年収を聞かれたことがあると思います。
希望年収の確認は、主に1回目の面接と最終面接にされることが多いです。理由としては、その企業の人事担当が同席していることが多いためです。
つまり希望年収は人事側が気にする内容ということ。なぜ人事は希望年収を質問するのでしょうか?
1.採用予算とのミスマッチを無くすため
会社には採用予算があり、転職者1人当たりのおおよその年収支給額が決まっています。面接官が希望年収を聞く最大の理由は、採用予算とのミスマッチをなくすためなのです。
採用予算は、例えば第二新卒クラスであれば400万円、課長クラスであれば600万円と大体の目安金額が定められています。多くの企業の場合、この年収の目安は社員の平均値から算出されていることがほとんどです。
そのため、面接の場面で候補者の希望額の確認を行う必要が出てきます。
面接官が希望年収を質問する理由は、候補者の希望する金額が自社の定めた支給可能額の範囲内であるかをチェックするためといえます。
仮に希望額がそれを上回る場合には、採用予算をオーバーしてしまうため、どんなに優秀な方でもお見送りになってしまう可能性は高まってしまいます。
2.客観的に自分の市場価値を把握しているかを確認するため
面接官が希望年収を聞く理由として、候補者が自身の市場価値を客観的に把握している人物かを確かめるため、ということもあります。
業界や業種、また職位によって求められる役割は異なってくるため、その役割をしっかり認識し、会社に貢献してくれる人を会社としては採用したいものです。
職場が違えば求められるスキルも多少異なる場合や大きく異なる場合があります。
自身の市場価値を適切に把握できていない人が入社すると、年収の金額で意見の食い違いが生じる可能性が高まります。「食い違い」を事前に防いでおくために、自身の市場価値を適切に把握している人かを予め企業としては確認しておきたいのです。
適切な希望年収の回答は?
「希望年収」は自分の希望をありのまま伝えることを指すのではなく、企業が求める回答をすることが優先されます。そのため企業が想定する金額よりも大幅に高い金額を言っても、企業としてはそもそも提示することができない場合もあります。
その場合は、「条件不一致」として採用が見送られてしまいます。
①求人票の記載金額内で答える
希望年収を聞かれた際には、求人票に記載のある年収金額の範囲内で答えるということを心がけておきましょう。
企業側も候補者は求人票の年収欄に同意して応募して来ているものと思っています。そのため求人票よりも大きな金額を申し出ると、求人票をしっかり見ていない人という印象を与えてしまうこともあります。
あくまで企業の提示する条件に納得して入社を希望しています、という姿勢を見せることが大切です。
その上で自分のスキルを効果的にアピールすることで、企業が出すことのできる最大の年収額を得ることに集中するほうが賢い方法と言えます。
②希望年収に幅をもたせる
求人票の記載金額をふまえた上で、希望年収に最低年収を付け加える方法もおすすめです。
例えば「〇〇万円が希望ですが、最低希望年収は〇〇万円と考えております。」という伝え方です。
この範囲内に求人票の記載金額が含まれていれば、企業の予算範囲に収まる可能性が高くなるでしょう。
③入社後の「頑張り」と共に話す
高い年収を狙う場合には、言い回しに気を付けましょう。
どんなに面接で自身の能力をアピールできたとしても、謙虚な姿勢がないとコミュニケーション能力に難がある人物と見なされてしまうこともあります。
現在の年収は〇〇万円です。御社に入社後はこれまでの成果や培ったスキルをもとに、最大限貢献する所存です。そのため現在の年収かそれ以上の年収を希望させて頂けますと幸いです
といったように、あくまで成果の頑張りに応じて相応の年収をもらいたいということをさらっと述べるようにしましょう。
④条件面談の場で希望年収を伝える
企業によっては、最終面接の後に「条件面談」が設定されることもあります。
この場は既に会社としては内定を出したあとに設定されることが多いため、入社の判断は候補者側に委ねられていることが往々にしてあります。
面接と違って評価をされる場ではないため、この場で素直な希望年収を伝えるのも1つの手です。企業としては既に内定も出しているので、余程のことがない限り内定を取り消すことはできません。
しかしあくまで「条件面談」は双方の認識に違いがないかを確認する場です。強引な給与交渉は後々の印象を悪くさせる場合もあるため、ここでも話し方などには気を付けるようにしましょう。
面接はあくまで「企業目線」を持って臨みましょう
面接は自分の希望を伝える場ではないことを改めて認識しておきましょう。
企業は求める人物像やスキルなどを明確化して採用に臨んでいます。その中には想定年収額も当然含まれてきます。
そのため、面接に臨む方はその企業の理想像に自身が相応しい人物であることをアピールする必要があるのです。どんな企業においても、相手の目線に立ってコミュニケーションができない方はそれだけで評価を落としてしまいます。
たとえそれが希望年収に関する質問であったとしても、会社目線や市場価値に則する回答ができているかを確かめられていることは肝に銘じておきましょう。
今回は面接で希望年収を聞かれた場合の答え方、また企業側の質問に隠された意図について詳しく解説しました。自分のスキルがしっかり相手に伝わるように話す一方で、謙虚な言い回しに気を付けるなど、面接は「バランス」が大切です。