近年、リモートワークやフレックスタイム制などが企業に導入され、人々の働き方もどんどん変化しています。終身雇用の崩壊ともいわれるなか、従来のメンバーシップ型雇用やジョブ型雇用とは異なる『タスク型雇用』という新たな働き方が注目されています。
そこで今回は、タスク型雇用の詳細とジョブ型雇用との違いについてご紹介いたします。
転職活動をするうえで、さまざまな求人情報を見る際の参考にしてみてください。
タスク型雇用とは
タスク型雇用とは、特定のタスクやプロジェクトごとに、スポット的に専門的な人材を雇う方法です。
日本で一般的なメンバーシップ型雇用やジョブ型雇用は会社や職務に基づいていますが、タスク型雇用はタスクやプロジェクトごとに独立した契約を結びます。そのため、非正規雇用で対応したり、フリーランスや個人事業主と業務委託契約などを結んだりするのが一般的です。
タスク型で雇用した人材は、契約にある内容以外の業務を行ないません。契約期間も短期が多く、一日で終了する場合もあります。報酬はタスクの内容やスキルによって変動します。
●タスク型雇用の例
<出前・宅配ビジネス>
コロナ禍での巣ごもり需要によって急成長している「出前・宅配ビジネス」は、タスク型雇用の代表的な例といえます。この場合のタスクは、一回ないしは数時間単位での配達業務です。
以前から出前のシステムは各飲食店にありましたが、出前・宅配ビジネスでは、配達パートナーを特定のお店とはかかわりのない個人事業主として雇用します。
いつ、どのぐらい働くのかは配達パートナーが自由に決められるので、まさにスポット的な雇用といえるでしょう。
<フリーランスへの業務委託>
フリーランスは、企業に属さず、タスクやプロジェクトごとに業務委託などで契約する働き方です。タスク型「雇用」とはいっても企業と個人の間で雇用契約は結ばれないケースが多くあります。
システム開発やサイト制作、WEB記事の執筆、動画編集など、専門性の高い仕事で多く見られるタスク型雇用の例です。
たとえばシステム開発では、現場によって必要な言語や技術が異なることから、プロジェクトごとに人材を雇用する企業が増えています。長期雇用よりコストがおさえられ、かつ、優秀な人材のスキルを取り入れられるからです。
その他の雇用形態との違い
▼メンバーシップ型雇用との違い
メンバーシップ型雇用とは、職務内容や勤務地、雇用期間などを限定せずに人材を採用する方法です。人材のポテンシャルを重視し、新卒一括採用で総合職として雇用するケースが多く、雇用される側は企業から指示された業務に従事します。
タスク型雇用との違いは、職務内容や期間があらかじめ決まっているか否かです。タスク型で雇われた人材は基本的に雇用側の企業に所属しないため、長期的なキャリア開発や昇進などの対象にはならないのが一般的です。
▼ジョブ型雇用との違い
ジョブ型雇用とは、必要な職務内容に対して適したスキルや経験を持つ人材を採用する方法です。職務内容は「ジョブディスクリプション」と呼ばれる職務記述書によって明確に提示され、これに基づいて雇用契約を行うのがジョブ型雇用の特徴です。
タスク型雇用と同様に、部署の異動や転勤、昇格・降格なども基本的には発生しません。タスクやプロジェクトの完了とともに契約も終了するタスク型雇用と異なり、ジョブ型雇用は職務に基づいているために比較的長期で契約が続きます。
さいごに
タスク型雇用は、よくメンバーシップ型雇用やジョブ型雇用と並べて語られますが、厳密にいうと「雇用契約」ではなく「業務委託契約」を結ぶケースが多いでしょう。長期の契約を結ぶことなく、必要なときにスポットで人材を雇う形態です。スキルを重視し、柔軟な人員補充によって効率のよいチーム編成ができるのがメリットといえます。
求職側としても柔軟な働き方ができることから、近年注目を集めている働き方です。転職をお考えのあなたも、「タスク型雇用」について、新たな働き方として検討してみるのも良いかもしれません。