ソーシャルスタイル理論について、別途コラム『ソーシャルスタイル理論とは?相手の心をつかむコミュニケーション』にてご紹介しました。
ソーシャルスタイル理論の4つの言動スタイルを知っていても、実際のコミュニケーションに活かすことができなければ意味がありません。
自分を知り、相手を知ったら、お互いの相違点に気づくはずです。そのうえで、相手のスタイルが好むコミュニケーションのスタイルを考えてみましょう。
自分のコミュニケーションスタイルは?
まずは、自分がどのスタイルに当てはまるかを確認してみましょう。コミュニケーションにおいて自分を知ることができなければ、相手に求められる対応がどのように不足しているかを気づくことができません。
下記の表にある質問で「自分はどう見られているか?」①~⑨はAまたはBを、⑩~⑱はCまたはDを選択してください。
チェックする際には、自己判断にこだわらず、同僚や上司といった他者の目線でスタイルを診断してもらうとよいでしょう。
①話すペースが | A:早い | B:ゆっくり |
②話すとき間を | A:とらない | B:とる |
③話すとき語尾が | A:きっぱり | B:ソフト |
④話すとき声が | A:大きい | B:小さい |
⑤話すとき | A:自分から話す | B:後から発言する |
⑥話すとき | A:結論から話す | B:順を追って話す |
⑦話すとき | A:まず自分の意見を言う | B:まず周りの意見を聞く |
⑧話すとき | A:視線をしっかり合わせる | B:視線をソフトに合わせる |
⑨話すとき | A:質問へは即決 | B:質問へは熟考 |
⑩表情が | C:豊か | D:ポーカーフェイス |
⑪声に | C:抑揚がある | D:抑揚がない |
⑫身振り手振りを | C:交えて話す | D:あまり使わない |
⑬雰囲気は | C:カジュアル | D:ビジネスライク |
⑭使う言葉は | C:平易なものが多い | D:硬いものが多い |
⑮得意なのは | C:たとえ話やエピソード | D:情報・データ・数字 |
⑯はじめは | C:まず人間関係を築く | D:すぐに仕事に取り掛かる |
⑰仕事のしかたは | C:周りと一緒に進めていく | D:一人で黙々と進める |
⑱気持ちが | C:顔に出やすい | D:顔には出ない |
すべての質問に答えたら、ABCDそれぞれいくつあったかを数えて、下記の計算式に当てはめましょう。
Aの個数-Bの個数=①
Cの個数-Dの個数=②
計算したら、下図に点描します。
①は横軸の数値で、マイナスは左、プラスは右
②は縦軸の数値で、マイナスは上、プラスは下
相手のスタイルに合わせたコミュニケーション方法
上記を使って相手のスタイルを分類できたら、相手が好ましいと感じるコミュニケーションスタイルを探してみましょう。
4つのスタイルに合わせたコミュニケーション例をご紹介します。
▼ドライビングへのコミュニケーション例
相手は感情を抑える傾向があります。
このスタイルには同じく感情を抑えた対応が好まれます。
合理的な考えの持ち主なので、会話は論理的に進めること。結論から先に伝え、そのあと理由、具体例といったように順序立てて話していくのが良いでしょう。
▼エクスプレッシブへのコミュニケーション例
エクスプレッシブは発言内容が直観的に変わる傾向にあるため、柔軟なコミュニケーションが望まれます。話を聞いてもらいたいスタイルなので、聞くことに集中しましょう。
また、仕事の方針を前触れなく変えてしまうときもあります。重要な方針などは、変わる前に言質をとっておき、文書化するといった工夫をするとうまくいくでしょう。
▼エミアブルへのコミュニケーション例
周囲の気持ちをくみ取れる傾向にあり、人付き合いしやすいスタイルと言えます。しかし、やや優柔不断なところがあり、決断に時間がかかってしまうスタイルです。
決断を無理にせまれば相手は多大なストレスを感じてしまいます。「一緒に考えませんか」といったように、決断ができない場面で相手に共感を持って接すると良いでしょう。
▼アナリティカルへのコミュニケーション例
無口で感情を抑えるこのスタイルは「何を考えているか想像がむずかしい」と言われがちな人です。だからこそ、感情的な対応はNG。
このスタイルには、相手は悪気がないことを認識して、辛抱強く対処するとよいでしょう。
また、データを重視するスタイルなので、仕事で決断を求めるようなケースでは、根拠となるデータを提示するといった工夫も有効です。
さいごに
さまざまな場面で、チームを構築したり集団で決められた方向に進む機会は多いと思います。そういったときにも「ソーシャルスタイル」を使ってみましょう。全スタイルがいるチームは強いチームになる可能性が高いです。
リーダーや各メンバーが全員のスタイルを把握し、それぞれが持っている言動の「強み」を最大化し、「弱み」を補完するといったマネジメントをすることにより、その場にいるメンバーの力を最大限発揮することが可能になるでしょう。