昼職のお給料の仕組み。バンス(前借)って可能なの?

昼職のお給料の仕組み。バンス(前借)って可能なの?

キャバクラやクラブなどナイトワークでは、バンス制度を利用したまたは聞いたことがあるという人も多いですよね。バンスとは「ツケ」や「前借金」のことで、お店からお給料を前借りできる仕組みのことです。

でもこのバンス制度って昼職にもあるのでしょうか?
今回は、昼職のお給料の仕組みと前借りが可能なのか?について説明していきます。

昼職のお給料について

日払いアルバイトなどを除けば、ほとんどの場合あらかじめ定められた給料日にお給料が支払われます。たとえば、月末締め・翌月10日払い、15日締め・月末払いなど企業によってさまざまです。

しかし、どうしてもお金が足りないから給与を早く受け取りたい・・・というケースもありますよね?昼職でも給料の前借り・前払い=労働に対する対価として賃金を支払い時期(給料日)より先に受け取ることが可能なのか?可能ならその方法・制限・注意事項があるのか、について見ていきましょう。

給料の前借り・前払い

給料の前借り・前払い

昼職でも給料の前借り・前払いは可能です。
ただし、労働基準法という法律で定められた範囲という限りがあるのです。

労働基準法第二十五条
(非常時払)
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

※e-Gov法令検索より引用・抜粋

つまり、出産・疾病・災害などの緊急の理由があれば、会社は給料の前払いを受け入れる義務があるのです。また、労働者として雇用されている者であれば、正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイト問わず受けることができます。

ただし、実際に給与の前借り・前払いを受けるには何点か注意すべき点があります。

労働基準法が定める非常時のみ

労働基準法施行規則第九条では、労働基準法第二五条が規定する非常の場合について、以下のように定義しています。

第九条
法第二十五条に規定する非常の場合は、次に掲げるものとする。
一 労働者の収入によつて生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合
二 労働者又はその収入によつて生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合
三 労働者又はその収入によつて生計を維持する者がやむを得ない事由により一週間以上にわたつて帰郷する場合

※e-Gov法令検索より引用・抜粋

つまり、労働者自身またはその労働者によって生計を維持している者が、以下の場合に該当する場合、雇用主は給料を前払いしなければなりません。

  • 出産した
  • 疾病にかかった
  • 災害を受けた
  • 結婚した
  • 死亡した
  • やむを得ない理由で1週間以上にわたって帰郷する

逆に、これらに当てはまらない場合は、雇用主は給料を前払いする義務はありません。

労働基準法第二十五条に、『既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。』とあるとおり、法律上認められる給料の前払いは既に働いた分に限定されます。これから働く分に関して給料を前払いすることは労働基準法に抵触する場合があるので注意が必要です。

労働基準法に抵触するケース

前述した通り、すでに働いた分の前払いについては非常時に限り認められています。
しかし、これから働く分の前払いについては、労働基準法に抵触する可能性があるのです。労働基準法第十七条には以下のような記述があります。

第十七条
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

※e-Gov法令検索より引用・抜粋

つまり、これから働く分の賃金を前借りすることは、法律に抵触するため絶対にできないのです。

まとめ

貯金箱を持ってガッツポーズをする女性

いかがでしたか?
今回は昼職でのバンス・前借りについてご紹介しました。
夜職とは異なるため、全然知らなかった!ビックリした!という方もいるのではないでしょうか?実際、ご相談を受けて説明した際に驚かれる方も少なくありません。昼職と夜職のお給料の仕組みそのものが違うので仕方ないことかもしれませんね。

昼職の場合、企業によって異なりますが、末締め・翌月支払いの企業が多く、就職・転職して働いてもすぐにお給料は貰えません。昼職でも非常時には前借りを受けることは可能ですが、働く前に「これだけ働くのでその分先にください」ということはできないのです。そのため、貯金ゼロの状態ではかなり厳しいでしょう。

就職・転職の際、最低でも家賃の3か月分の貯金がある方が良いと言われています。これから就職・転職をしようと考えている方も、すでに活動を始めている方も、自分自身の貯金額についてもしっかりチェックしておきましょう。

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